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キャンディーズのスーちゃんこと田中好子さんのご冥福をお祈りします [アイドル]

キャンディーズのスーちゃんこと、女優の田中好子さんが乳癌のため55歳で亡くなられたとのこと。
僕はキャンディーズのデビュー時の73年には9歳、解散時の78年には14歳だったから、彼女たちの活躍をテレビを通じてずっと見続けた世代だけに、スーちゃんが亡くなったということへのショックは大きい。
僕ら昭和の中坊たちは中学生時代に男友達同士、「キャンディーズの中で誰が好き?」と聞き合うことでお互いの好きな女性のタイプを確認し合ったものだが、実際には僕らより上の当時の大学生たちの間で熱狂的に支持され、確かキャンディーズ連盟というファン組織もあったと思う。
最近はAKB48や韓国のKARAや少女時代など女性のアイドルグループの黄金期に再び突入している感があるが、思えばキャンディーズは日本初の女性アイドルグループだったと言えるだろう。
渡辺プロダクションには彼女たちの先輩に当たる女性ユニットとしてザ・ピーナッツやゴールデンハーフなどが存在したがアイドルというニュアンスではなかったし、ナベプロ三人娘などはあくまでソロ歌手三人を総称したものだった。
彼女たちが正統派女性アイドルグループ像を確立したからこそ、後発組のピンクレディーはまた一味違った路線を開拓していったのである。
ピンクレディーをデビューさせるあたってレコード会社幹部はキャンディーズ路線をイメージしていたそうだが、作詞家の阿久悠や作曲家の都倉俊一が「キャンディーズの七割がけではなく独自の路線を」と主張し、若い女性の恋心を終始歌い続けて男性ファンを中心に支持されたキャンディーズに対し、ピンクレディーに「UFO」「サウスポー」「モンスター」など恋愛ソングの枠を超越したエンターテイメントソングを歌わせ、女のこどもというファン層を獲得することに成功したのだ。
そうした意味でも、キャンディーズが日本の女性アイドル史で果たした役割は限りなく大きい。
デビューから四曲めまではスーちゃんがセンターを務めたが、デビュー曲「あなたに夢中」の♪若さを~(捧げて~) この命~(捧げて~)私は~(生きるの~)この愛に~(あ・な・たと二人)…というサビのところのソロパートをパンチのある歌い方で歌い上げる姿が懐かしい。
センターがランちゃんに代わってからの「年下の男の子」のサビでランちゃんのソロパートを♪ハウ、ハウ…というコーラスで支えるスーちゃんの姿に当初はこども心に複雑な思いがしたのを覚えている。
また、そのサビ部分の振付(西条満)にはシュープリームスやロネッツなどアメリカの黒人女性グループの影響も感じられたものだ。
「春一番」「やさしい悪魔」「ハートのエースが出てこない」「その気にさせないで」「アン・ドゥ・トロワ」「暑中お見舞い申し上げます」などなど、キャンディーズの曲には思い出が尽きない。
有名な「普通の女の子に戻りたい!」という衝撃的な解散宣言の後で初の1位を獲得した「微笑がえし」は、歌詞に過去のヒット曲のタイトルが散りばめられるなど、最終回スペシャル的なニュアンスが強かった。
また、キャンディーズほど、コントの上手い女性アイドルグループは過去にいなかったし、その後もいない。
三人それぞれのコントの実力はのちのSMAPに匹敵するほどで、キャンディーズは<元祖・女性版SMAP>とも言うべき存在だった。
「8時だョ!全員集合」でハゲ親父キャラの加藤茶を先頭にしてキャンディーズが「あ、ヘッコ、ヘッコ、ヘッコ」と腰を前後に振りながら登場する大工コント。
仲本工事を中心にした体操コントでも毎回キャンディーズの果たす役割が大きかった。
「ドリフ大爆笑」で三人がすぐに「クシシシ…」と笑うハゲヅラのスケベ親父に扮し、料亭の女将役のいかりや長介や芸者役の高木ブー、仲本工事、志村けん、加藤茶をいじる芸者コント。
「全員集合」や「大爆笑」で、スーちゃんがフェロモンムンムンキャラ、ミキちゃんがやたらと「ヤンタッタ、ヤンタッタ!」とオゲレツポーズを見せるキャラ、ランちゃんが「ウッ~!」を連発する感情過多キャラに扮して志村けんと絡むコント。
「みごろ!たべごろ!笑いごろ」で母親役の伊東四朗や政太郎役の小松政夫と共演した悪ガキ一家コントでは、ラン助・スー吉・ミキ子に扮した三人が、毎回「世界のキャンディーズになるまで涙は禁物よ」「さあ、ラン。笑って!」「…うん」という意図的なクサい演技のやりとりで笑わせたものだ。
キャンディーズ解散後にスーちゃんは「欽どこ」にレギュラー出演していたが、あれは、欽ちゃんと一緒に仕事がしたいというスーちゃん本人の強い希望があって実現したそうだから、よほどコントが好きだったのだろう。
結果的にスーちゃんは、ドリフ、伊東四朗、萩本欽一というテレビ史に残る喜劇人たちとテレビ史に残るコントを演じ続けたことになる。
女優としても大きな成功を収めたのはご存知の通りである。
日本アカデミー賞最優秀女優賞を獲得した今村昌平監督の映画「黒い雨」で見せた重厚な演技には驚かされた。
NHKの国民的人気ドラマ「ちゅらさん」シリーズでは、主人公の父親役の堺正章と母親役のスーちゃんの二人がシリアスとコミカルな演技の両面でドラマ全体を引き締めていた。
スーちゃん、本当にお疲れさまでした。
あなたの素晴らしい仕事の数々はいつまでも忘れません。
心よりご冥福をお祈りいたします。


私、西条昇はこれからも、エンタメ研究家、お笑い評論家、アイドル評論家として、スーちゃんこと田中好子さんの業績について語っていきたいと思います。

西条昇のツイッターは@saijonoboruです。ぜひ、フォローして下さいね。
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