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「サタデー・ナイト・ライブ JPN」 1回目の放送を見て・・ [お笑い]

昨日の夜、「サタデー・ナイト・ライブ JPN」を見た。
「サタデー・ナイト・ライブ」と言えば、1975年にアメリカでスタートした、コントあり音楽ライブありのバラエティー番組の老舗で、ジョン・ベルーシもダン・エイクロイドもチェビー・チェイスもビル・マーレイもエディ・マーフィーもマイク・マイヤーズもこの番組のレギュラーからスターになったし、コメディー映画「ブルース・ブラザーズ」「コーン・ヘッズ」「ウェインズ・ワールド」はこの番組での定番キャラを映画化したものだ。
日本のバラエティー番組に与えた影響も大きい。
81年に日テレでスタートしたタモリの「今夜は最高! 〜WHAT A FANTASTIC NIGHT!〜」は、オープニングコントの最後でのタイトルコール、毎回各界からの大物メインゲストを招くところ、番組のホストバンドの存在、土曜夜11時台からの放送など、随所に「サタデー・ナイト・ライブ」の影響が感じられた。
同じく81年にフジテレビでスタートした「オレたちひょうきん族」も、当時のお笑いカウンター・カルチャー世代のレギュラー陣を起用した点やオープニングクレジットやCMパロディーなどに「サタデー・ナイト・ライブ」っぽい匂いがした。笑いのテイスト、笑いの方向性はかなり違うものだったが。
「今夜は最高!」と「ひょうきん族」の要素を足して2で割ったら、より「サタデー・ナイト・ライブ」に近いものになるだろう。
「サタデー・ナイト・ライブ」はサッカーの代表選手が時代と共に入れ替わっていくようにレギュラー陣を入れ替えながら現在まで続けられてきた一方、フジテレビは「ひょうきん族」に続いて、その時々の若手お笑い陣を組み合わせて「夢で逢えたら」「とぶくすり」「ワンナイR&R」「笑う犬シリーズ」「はねるのトびら」「ピカルの定理」など数々のお笑いバラエティー番組を作ってきた。
中でも「笑う犬の冒険」のオープニングセットの雰囲気や谷啓さん率いるホストバンドの存在、「ワンナイR&R」のオープニングクレジットやオープニングトークでの斜め後ろからのショットが時折挿まれる点や定番キャラを押していく構成などが特に「サタデー・ナイト・ライブ」っぽかった。
今回、「サタデー・ナイト・ライブ」を一種のお手本として大きな影響を受けてきたフジテレビのバラエティー制作班が改めて同番組の日本版を月1ペースで作ることになったという。
監修が片岡飛鳥氏、小松純也氏、プロデューサーが明松功氏、中嶋優一氏、演出が藪木健太郎氏、音楽プロデューサーがきくち伸氏、制作が港浩一氏といったスタッフ陣は、まさにフジテレビのバラエティー制作班の総力を結集した感がある。
レギュラーキャスト筆頭に明石家さんま、サブに今田耕司、コントサポートにピース、モンスターエンジン、ハライチ、平成ノブシコブシ、渡辺直美など「ピカルの定理」のメンバーという芸人レギュラー陣は、ハライチ以外は吉本所属である。
このレギュラー陣の顔ぶれを見て、本家がスタートした頃のレギュラー陣の選び方に比べると、さんまと今田という既成の大御所・ベテランが中心になっていることに保守的な印象を受けた。
1回目のゲスト・ホストはナイナイの岡村隆史、音楽ゲストは平井堅。
日本版ということで、生放送である点や構成・フォーマットは本家に準じている。
タイトルコールをオチにしたさんまと岡村のオープニングコントがあって、オープニングクレジットへ。
ホストバンドの演奏するオープニング曲に乗って、夜のニューヨークの様々なカットの映像が流れ、その合間にナレーターによる紹介と共にレギュラー陣やゲスト・ホストのショットが挿まれる本家のオープニングクレジットのオシャレな雰囲気を、ロケ地をお台場付近に置き換えつつ、ほぼ忠実に再現していた。
改めて、観客を前にしたオープニングセットに岡村が登場。
本家だと、ここから5分くらいはゲスト・ホスト一人のオープニング・モノローグでスタンダップ・ジョークを交えて笑わせるのだが、日本版ではすぐに両サイドからさんまと今田が登場し、3人でのトークになる。
日本にはアメリカのようなスタンダップ・ジョークの伝統がないという文化の違いもあり、今後、俳優がゲストに来た場合に一人喋りで笑わせるのは厳しいだろうから、このアレンジは適切と言えるだろう。
以降は、ゲスト・ホストを立てたコント(スケッチ)と音楽ゲストのライブ・パフォーマンスが交互にあって、全員登場のエンディングへ。
予想通り、さんまが中心となってゲスト・ホストや音楽ゲストや若手の個性を引き出しつつコントをリードしていき、今田が要所要所の適切なフォローで全体の笑いをボランチ的に支えていた。
今後、この番組で何より期待したいのは、若手レギュラー陣の大化けである。
あのジョン・ベルーシも番組スタート当初はメインを務めるコントを与えてもらえず、若手レギュラー陣の一人というポジションだったが、三船敏郎風にデタラメ日本語を喋るサムライ・キャラのコントで一躍注目を浴び、番組内でのダン・エイクロイドとのブルース・ブラザーズのコーナーが決定打となって大スターへと昇りつめたのだ。
ピースなどは既に若手コンビのトップ格として売れているが、この番組をキッカケにして、もっともっと大化けしてほしいし、それぐらいの気構えで臨んでもらいたい。
全体的に手さぐり感はあったが、それは1回目ということもあり、徐々に解消されていくだろう。
何より、収録によるトーク・バラエティーが全盛のこの時代に、あえて生放送によるコントと音楽のバラエティー・ショーという言い訳の効かない正統派エンターテイメント・スタイルでガチ勝負をしてきた心意気を買いたいと思う。
考えてみると、ここ数年は民放各局と芸人たちがトーク・バラエティーに走る一方で、NHKが俳優たちを使ったコント中心のバラエティー「サラリーマンNEO」の奮闘ぶりが目立つという状況が続いていた。
ここは何としても、80年代からの日本の笑いをリードしてきたフジテレビと、プロの芸人たちの意地を見せてもらいたいところだ。
本家のアメリカ版をまだ見たことないかたは一度DVDで見てみて、自分なりに比較してみるのも面白いのでは?
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