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ダンスと映像のコラボ・ユニット「KAGEMU」とビヨンセのパフォーマンスについて [エンタメ]

エンタメ評論家の西条昇です。 

僕が今、世界的に通用する日本人のパフォーマンス・ユニットを3組挙げろと言われたとしたら、迷うことなく、パントマイムの「が~まるちょば」、元・格闘家の須藤元気が率いる「WORLD ORDER」、それにマーシャルアーツ系ダンサーのサカクラ カツミと映像クリエイターのハナブサ ノブユキによる「KAGEMU」」の名前を挙げるだろう。

が~まるちょばとWORLD ORDERについては、また別の機会に書くとして、今回はKAGEMUについて書いてみたい。

僕は今年の4月に日本テレビの「世界1のSHOWタイム~ギャラを決めるのはアナタ~」で初めてKAGEMUのパフォーマンスを見て、すぐに彼らのファンになった。

それが「BLACK SUN」という作品であることは後に調べて知ったのだが、サカクラ氏のヌンチャクや武道系の動きを取り入れたダンスとハナブサ氏による映像、更にオリエンタルな雰囲気を醸し出す音楽や効果音が心地よいテンポでシンクロしていくパフォーマンスは見事と言うしかなかった。

http://www.youtube.com/watch?v=Qvoh0ZtVIW8

同時に、これは絶対に海外からも引っ張りダコになるに違いないし、国内外のエンターテイメント界に大きな影響を与えるだろうと思ったものだ。

そんな彼らが盗作騒動に巻き込まれているという。

ことの発端は、今年5月にラスベガスで開催されたBillboard Music Awards 2011で、ビヨンセ(Beyoncé)がダンスと映像をシンクロさせたステージを披露し、大ウケにウケたことだった。

曲は「Run The World (Girls)」。

http://www.youtube.com/watch?v=sOTMEXTlWhc&feature=related

ビヨンセのキレが良くて迫力あるダンスと4Dエフェクトによる映像がシンクロするステージのクオリティー自体は確かに高かったと思う。

ただ、ダンスと映像のシンクロという手法そのものは以前からあったものだとしても、映像のテイストやアイディアにKAGEMUを連想させる箇所がいくつかあって、おや、これは・・・?と思った。

向こうのメディアやネットでは、直後から、イタリアの女性歌手ロレッラ・クッカリーニ(Lorella Cuccarini)が2010年のサンレモ音楽祭で披露したパフォーマンスのパクリではないか・・・?という声があがったという。

そうした反応を受けて、ビヨンセはAOL Musicで、1年前にロレッラ・クッカリーニのパフォーマンス映像をメイクアップ担当者から見せてもらったことがキッカケでそのパフォーマンスの演出チームに会って協力を願い出たのだと答えたとのこと。

そのロレッラ・クッカリーニのパフォーマンスを演出していたのが、ニューヨークを拠点に活動している日本人メディア・アーティストのKenzo DigitalことKenzo Hakuta氏で、今回のビヨンセのステージも手掛けたそうだ。

http://bmr.jp/news/detail/0000010955.html

YouTubeでサンレモ音楽祭でのロレッラ・クッカリーニのパフォーマンス映像を見て驚いた。

http://www.youtube.com/watch?v=nkg6-dZVysM
http://www.youtube.com/watch?v=x59l7Tg9KtA

映像のアイディアや構成、動きとのシンクロ具合、音楽や効果音、何から何まで、KAGEMUの「BLACK SUN」にソックリ・・・、というか、そのままなのだ。

KAGEMUの「BLACK SUN」は2009年7月に東京のイベントで披露され、2009年7月20日にYouTubeにアップされている一方で、ロレッラ・クッカリーニがサンレモ音楽祭でパフォーマンスを披露したのは2010年2月22日だそうだ。

この時系列なら、誰が見てもKAGEMUの2人のほうがパクられたと受け取るだろう。

しかも、ロレッラ・クッカリーニは当然ながらサカクラ氏のようなキレの良い動きが出来ておらず、パフォーマンスとしてのクオリティーもKAGEMUとは比較にならない。

すぐにKAGEMUの2人は公式にコメントを発表している。

http://www.kagemu.com/pg131.html

ビヨンセにしてみれば、ロレッラ・クッカリーニのサンレモ音楽祭でのパフォーマンスをオリジナルだと信じてコンタクトを取り、その制作者に仕事を依頼しただけで悪気はなかったのだろう。

ビヨンセは同じ「Run The World (Girls)」のPVを作る際、YouTubeで発見したモザンピークのダンスグループ「Tofo Tofo」をわざわざ招いて出演させ、そのアフリカンダンス・テイストを取り入れたという例もあるように、エンターテイメントに関して勉強家なのだと思う。

http://www.youtube.com/watch?v=mteXoa9bphQ
http://www.youtube.com/watch?v=9wmJzUMDVuo
http://canakana2.exblog.jp/16062372/

だから今回も、ビヨンセがロレッラ・クッカリーニのパフォーマンス映像を見る前にKAGEMUの映像を見ていれば、KAGEMUの2人に依頼をしていた可能性もあったのではないか。

それにしても、日本人アーティスト同士でこうした問題が起き、それが海外のエンターテイメント界からも注目される問題となったことについては複雑な思いを抱かざるを得ない。

今回、色々、YouTubeを見ていたら、インドネシアの女性歌手アグネス・モニカ(Agnes Monica)がBillboard Music Awards 2011のビヨンセとソックリのパフォーマンスをしている映像を見つけた。

http://www.youtube.com/watch?v=eEQEXpSRQkA

ここまでくると、もう呆れるしかないという感じである。

一昔前までなら、別の国のステージやテレビでパクったとしても、オリジナルの国までは情報が届かず、バレずに済んだケースも多かっただろう。

それが今ではYouTubeなどで、すぐにパクリがバレてしまう時代になっているにも関わらず、こういう問題が起きたということに驚かされた。

ここは、エンターテイメント界全体のためにも、著作権問題をキチンとクリアに解決してもらいたいところだ。

KAGEMUの2人が各国から正当に評価されることを願ってやまない。

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