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日本のガールズ・アイドル・グループの元祖「キャンディーズ」に60年代アメリカのガールズ・ポップス・グループが与えた影響とは [アイドル]

元「キャンディーズ」のスーちゃんこと田中好子さんが亡くなられて、早いもので、二ヶ月が過ぎた。
先日発売された「レコードコレクターズ」のキャンディーズ特集を読んで、改めて、彼女たちこそ日本の女性アイドルグループの第1号であり、最近のAKB48などに代表されるガールズ・ユニット・ブームの原点であることを実感した。
同時に、では何故、キャンディーズ以前に日本に女性アイドルグループが存在しなかったのかということが気になった。
キャンディーズは言うまでもなく、72年に渡辺音楽学院のスクールメイツのメンバーだった3人がNHK「歌謡グランドショー」のマスコットガール兼アシスタントに選ばれたことがキッカケで結成され、73年9月に「あなたに夢中」でデビューしている。

http://www.youtube.com/watch?v=yPDFlUppC30

アメリカでは60年代にソウルやゴスペルをベースにしたたくさんの黒人ガールズ・ポップス・グループがアイドル的な人気を博しており、ビートルズ人気を受けて日本でGSブームが起きたように、すぐにその日本版が登場してもよさそうなものだが、実際はなかなかそうはならなかった。
ロネッツ(The Ronettes)の「Be My Baby」は日本では当時、弘田三枝子がソロでカバーしてるしね。
  
http://www.youtube.com/watch?v=z7pmwqDLxU0&feature=fvst
http://www.youtube.com/watch?v=xu8tdXBkQhY
http://www.youtube.com/watch?v=p-elVix06Po

これは、もともと日本にはハーモニーの伝統がなく、ハモれて、しかもビジュアル的に一定のレベルにある女の子を揃えるのが難しかったということもあるのかもしれない。
60年代の日本にはスリー・キャッツやスリー・グレイセスといった女性コーラス・グループがいたが、アイドル的な要素はなかったように思う。
そもそも、ソロの女性アイドル歌手像が確立したのが、南沙織(71年6月「17歳」)、天地真理(71年10月「水色の恋」)、麻丘めぐみ(72年6月「芽ばえ」)、桜田淳子(73年2月「天使も夢みる」)、浅田美代子(73年4月「赤い風船」)、山口百恵(73年5月「としごろ」)などが相次いでデビューした71年から73年にかけてであり、キャンディーズもデビュー曲「あなたに夢中」やセカンド・シングル「そよ風のくちづけ」あたりの曲は初期の桜田淳子とも共通する清純派アイドル的なイメージで制作されている。

http://www.youtube.com/watch?v=YsxNIP-9rQU

一口で言えば、キャンディーズは70年代初期の日本の女性アイドル歌謡と60年代のアメリカのガールズ・ポップス・グループの要素を合体させたものと言えるのではないか。
数あるアメリカのガールズ・ポップス・グループの中でも、やはり日本での知名度という点ではダイアナ・ロスのいたシュープリームス(The Supremes)がその代表格ということになるのだろう。
奇しくも、シュープリームスとキャンディーズは初期の頃にリード・ボーカルを交替しているという点でも共通している。
実際にキャンディーズはTVでシュープリームス・メドレーを歌ったりもしていた。

http://www.youtube.com/watch?v=Pte_66F_laM
http://www.youtube.com/watch?v=23UkIkwy5ZM
http://www.youtube.com/watch?v=Abvmcju-7rA

僕としてはダイアナ・ロスの個性が際立ち過ぎの感のあるシュープリームスよりもロネッツやクリスタルズ(The Crystals)のほうが曲もポップで振り付けも可愛くてお気に入りなのだが。
 
http://www.youtube.com/watch?v=2Rfbz7z6wDQ
http://www.youtube.com/watch?v=xu3bKBIEypE&feature=related

ビートルズやカーペンターズもカバーした「Please Mr. Postman」で有名なマーヴェレッツ(The Marvelettes)や「Will You Love Me Tomorrow」などのヒット曲を持つシュレルズ(The Shirelles)は伸びがあってパンチの効いた黒人特有の歌声に魅力があったし、シンディ・ローパーもカバーした「Iko Iko」や大ヒット曲「Chapel of Love」で知られるディキシー・カップス(The Dixie Cups)は美しいハーモニーとユーモラスなキュートさが売り物だった。

http://www.youtube.com/watch?v=KseUrBSRBDA
http://www.youtube.com/watch?v=c_cRHw8PAPA
http://www.youtube.com/watch?v=l6rDdWPYdgg&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=COWu7KxRN5U&feature=related

当時のガールズ・グループの中で異色の存在と言えたのが白人4人組(3人での活動も多かった)シャングリラス(The Shangri-las)で、ワルカワイイ不良娘的なイメージで暗い曲やワイルドな曲を歌い、どちらかと言えば<ガールズ・ロック>の元祖という趣があった。
振り付けが揃ってない感じも逆に彼女たちらしくて、僕は気に入っている。
「Give Him a Great Big Kiss」で投げキッスをしながら「ワー!」と言うところを見ていて、キャンディーズが「暑中お見舞い申し上げます」のイントロで「ウー、ワー!」と叫ぶところを思い出した。
白人3人組のエンジェルス(The Angels)もPOPでキャッチーな曲を売り物に人気を博し、キャンディーズの「年下の男の子」と同様の「♪ハウ、ハウ」というコーラス部分のある「My Boyfriend's Back」は全米No.1ヒットを記録している。

http://www.youtube.com/watch?v=01YePzk29Mc&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=glTzylhID4A
http://www.youtube.com/watch?v=REeeucZtDY0

キャンディーズにとっては、こうしたグループに加えて、70年代の初期に本国のアメリカ以上に日本で人気を博したスリー・ディグリーズ(The Three Degrees)あたりが、ある種、身近なお手本になっていたようだ。

http://www.youtube.com/watch?v=9ZxM3XbwZ2I

5曲めの「年下の男の子」でランちゃんがセンターでリードボーカルを担当するようになってからは、清純派路線からお姉さん路線に転じ、その後も様々なヒット曲を生み出してみせた。
今思えば、「年下の男の子」の振り付けなどはかなりアメリカのガールズ・ポップス・グループのイメージに近いものになっていたと思う。
中盤から後期にかけては、ブラス・ロック・バンドのMMPをバックに迎えるなど、ロック志向を強めているように見えたものだ。

http://www.youtube.com/watch?v=Y7NnHnkZp-Y
http://www.youtube.com/watch?v=OcaP5oBfVfo
http://www.youtube.com/watch?v=v_3bdfGHuG4
http://www.youtube.com/watch?v=lCrsYFuusb4&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=4dkoOK-hV5M&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=qJ1zzyNDq6g&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=SbWVGuNkVns

キャンディーズが正統派のアイドルグループ像を築きあげたからこそ、ピンク・レディーはあえて違う路線を選び、結果的にアイドルグループという枠は大きく広がった。
改めて、彼女たちとそのスタッフの方々の功績に敬意を表したい。
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